誰もやらない未来を、ここから生み出す
「粉末スパッタリング技術」を通じて
最先端の新規材料開発に貢献。
「コーティング(成膜)」と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?紫外線や雨、ホコリなどから人の肌やクルマの塗装、建物の美観を保護したり維持するための技術。そんなイメージをもつ方が多いのではないでしょうか。そうした重要な役割を果たすことから、幅広い産業界で用いられているコーティング技術ですが、実はもう一つ、大きな役割があります。それが、“既存の素材に新たな機能を付与する”というもの。フルヤ金属は、早くからこの技術の価値に目を向け、高機能電子材料などの進化を支える「粉末スパッタリング」技術を磨いてきました。
「スパッタリングターゲット」を起点に
物質にコーティング(成膜)を施し、既存の素材に新たな機能を付与する――実はこの技術自体は古くから存在しています。その代表である「メッキ」は、保護材としてだけでなく、導電性という機能を付与する役割を果たしています。同様にウレタンコーティングや水性コーティングなども素材に透湿性や水溶性といった機能を付加しています。
このように、液体を用いる湿式コーティングは産業界の幅広い分野で用いられていますが、ミクロン単位の不純物の混入を避けながら、原子/分子といった粒子を半導体基板に薄膜形成する高機能電子材料においては不向きとされています。そこで、こうした超精密なコーティングは現在、「スパッタリング(真空成膜)」という技術によって行われています。また、スパッタリング技術は電子材料だけでなく、身近なところではフィルムにアルミニウムをコーティングしたアルミ蒸着袋といった食品の酸化防止の用途などにも用いられています。
こうしたなか、フルヤ金属は高機能電子材料のスパッタリングに不可欠な貴金属を用いた「スパッタリングターゲット」を主力製品の一つと位置づけ、半導体や液晶、有機ELなどエレクトロニクス社会の進化を支え続けています。
スパッタリング技術の仕組み
真空状態の装置内でスパッタリングターゲットにアルゴイオンを衝突させ、放出したターゲット原子/分子をシリコンウェハーやガラスなどの基板上に不役佐瀬、薄膜を形成する。
粉体にナノレベルの薄膜を形成
高機能電子材料の進化になくてはならないスパッタリング技術ですが、電子部品業界のさらなる高機能化ニーズの高まりを背景に、現在、フルヤ金属が約20年前から取り組んできた「粉末スパッタリング技術」に改めて注目が集まっています。
従来のスパッタリング技術は、シリコンウェハーやガラス、フィルムなどの平面物にしか活用できませんでした。しかし、粉末スパッタリング技術は、微細な粉末粒子に対してナノレベルの複数の粒子を同時にスパッタリングすることができます。これによって、合金のような薄膜を形成(合金化)したり、複雑な組成の薄膜を任意に多層形成(多層化)したりできることから、電子部品や電池、触媒、化粧品原料まで、これまでにない機能を発揮する画期的な製品が生まれています。また近年は、リチウムイオン電池に比べてより高い安全性と性能が得られる全固体電池の電極材料に採用されるなど脚光を浴びています。
当社はこの粉末スパッタリング技術の可能性に早くから着目。新たな挑戦を奨励する企業風土のもと、2005年から基礎的な研究を開始し、現在は電子部品業界のみならず、さまざまな産業界の新規材料探索ニーズに対して、多種多様な組成・構造の成膜を実現する受託成膜ビジネスを展開しています。
粉末スパッタリング技術のメカニズム
ターゲットの上にプラズマを発生させて粉末表面にターゲット材を被覆すると同時に、回転バレルを回転させることで粉末を拡販し、粉末一つひとつに均一に塗布する。
独自技術で受託成膜ビジネスを拡大
スパッタリングに用いるターゲット材の開発・製造を行っていた当社が、なぜ粉末スパッタリングの受託成膜ビジネスに挑戦したのか――それは、「PGM製品の開発力や高品位な製品加工力という独自技術をいかに付加価値の高い新規事業に活かすか」という発想がもとになっています。
当社は、PGMを用途に応じて再精製することで、高純度なPGMやその化合物を生み出すケミカル事業を推進しており、貴金属の粉末に関する豊富な知見を有しています。一方で、自社内にクラス100対応のクリーンルームを有してPGMターゲット材を安定的に量産する生産技術を有しています。そこで、これら2つの知見・技術を融合することで、当時、高機能電子材料や触媒などに活用が始まっていた粉末スパッタリング分野への挑戦を開始することとしました。
2005年、フルヤは初期段階の研究を目的として「バレル式」と呼ばれる粉末スパッタリング装置を外部企業から導入。その後も、ターゲット材や真空装置内での微粒子の撹拌方法などの改良を重ね、徐々に受託成膜ビジネスの顧客を増やしていきました。
その後、2010年には合金成膜や多層成膜ができる3元粉体スパッタリング装置に関して複数のプロトタイプを開発。こうした試行錯誤を重ねたうえで、2022年には、より高品位な粉体スパッタリングを安定的に量産していくために粉体の撹拌方式を刷新。ナノレベルのコーティングを実現する「IMS粉体スパッタリング装置」を開発しました。
以来、今日まで、顧客企業が求めるパフォーマンスを実現するために、装置の改良やスケールアップを進めるなど“伴走型の開発支援”を通じて受託成膜の実績を積み重ねています。
培ってきた経験、ノウハウ、データを活かす
当社がこれまでに受託成膜ビジネスで手掛けた粉末スパッタリングの試作品は約4,000種類にも及びます。また、粉体スパッタリング装置もさまざまな改良、スケールアップを経て、現在では量産化に向けた研究開発を進めています。
当社は今後もこれら数々の開発で培ってきた経験、ノウハウ、データを活かして、顧客が求める新規材料にスパッタリング技術の真骨頂であるmoreover(さらに、その上の)機能を付与していきます。
FURUYA X FUTURE
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